若者よ、起きなさい
フランシスコ・サビエル 外川 直見神父
イエスがナインという町を訪れたときのことです(ルカ福音書7章11~17節)。ナインはガリラヤ湖から南西に20キロほど内陸に入った町で、聖書にはこの時だけしか名前が出てきません。しかし、この小さなエピソードのお陰で、イエスの深く温かな想いがあふれ出る心の舞台になりました。
イエスが弟子たちとともにナインの町に近づいたときのことです。一台の棺が担ぎ出されて来ました。ある母親が亡くなった一人息子を悲しみの内に天に送ろうとして、大勢の人たちがそばに付き添っていました。母親は前に夫を天に見送っており、一人息子はその母親の唯一の生きる希望でした。イエスは近づいて「もう泣かなくてもよい」と声を掛け、そっと棺に手で触れられました。棺を担いでいた人たちが立ち止まると、イエスはまた言われました。「若者よ、あなたに言う、起きなさい。」若者は起き上がりものを言い始めました。聖書は「イエスは息子をその母親にお返しになった。」と記します。聖書はいつも文章が簡潔で、イエスの言葉も動作もまた簡潔です。その時のイエスの表情はどうだったでしょうか。葬送の行列に出会われたとき、母親に近づかれた時、棺に手を触れて若者に呼びかけられたとき、若者を母親に返されたとき、それぞれにイエスの表情は違ったでしょう。母親の深い悲しみと絶望をイエスが心の中に深く受け止めながらの表情、言葉、動作。静かに黙想したいと思います。この時のイエスの心を、聖書は「憐れに思い」と記しています。原語では「はらわたが動かされる、同情する、憐れむ」、日本風に言えば「心が深く動かされる」でしょうか。聖書では、イエスが深く憐れむ場合に、また、放蕩薄子のたとえやよきサマリア人のたとえで使われています。このような深い憐みに動かされて、イエスは母親に話しかけられたのでしょう。
母と子はイエスから新しい命を与えられました。二人は神から与えられた命とつくづく感じながら、感謝の内に新たな人生を始めたでしょう。命が神から与えられたことをこのとき初めて知ったかもしれません。本当は誕生のときから命を神から与えられましたが、それを日々感謝の内に受けることがどれほど難しいか、私たちはよく知っています。この母と子は、命を返していただいた恵みだけでなく、命の深い意味を知る恵みをもいただきました。この息子はいつかもう一度死を迎えます。その時には悲しみの内にではなく、感謝の内に死を迎えるでしょう。
私たちは毎日を特別な奇跡もなく平凡に過ごしています。しかし、この息子は死を体験して、新たな命を奇跡によって与えられました。私たちは死を経験することなく毎日の命を与えられています。毎日奇跡なしに命をいただいていますが、これは毎日の平凡さの中に命をいただくという奇跡の連続なのかもしれません。すごい奇跡ではないでしょうか。
2023.9.29
新しいミサ曲の研修会に参加して
ヨハネ 岡村明彦
9月17日(日)午後、山口教会のサビエル記念聖堂でミサ曲の研修会が行われました。指導は長崎から来られたカトリック長与教会主任司祭の平本義和神父様です。神父様は以前、三末司教様の時に広島に赴任されていたことがあり、その折エリザベト音大で勉強されたことがあるそうです。なんでも現司教の白浜司教様と同級生とのこと。司教様は同級生の間でも、白浜聖人と呼ばれていたような方で、広島教区に取られたのは悔しいと冗談交じりに話されていました。
研修内容は、「いつくしみの賛歌」をはじめ各賛歌を平本神父の独唱の 後に、参加者全員で繰り返して歌う形で進められました。防府教会で練習していた時には、どの曲もあまり印象に残らないようなメロディーばかりだなと感じていましたが、平本神父のソフトで良く通る歌声と、グレゴリア聖歌との関連や、日本独自のメロディー構成など曲のうんちくを聞くと、今度はすごくいい曲ばかりのように感じられたのが不思議です。
ところで、昔から「歌う人は倍祈ることになる」ということが言われてきましたが、これは単に言葉で祈るよりは、メロディーに乗せた方が、祈りの対象である神、キリストに伝わりやすいということでしょうか。真意のほどはわかりませんが、キリスト自身が話されていたのはアラム(アラマイ)語ですし、グレゴリア聖歌はラテン語なのであまり言語にこだわるよりは、思いを込めて声を出すというところかなと思います。実際、グレゴリア聖歌などは言葉が理解できなくても、何となく祈りの思いが伝わってくるように感じます。話は変わりますが、アサヒビールの「スーパードライ」の開発者で有名な樋口廣太郎さん。経済界で色々と活躍されましたが、敬虔なカトリック信者で、京都の所属教会でミサの時には、いつも大きな声で歌われていたというエピソードを聞いたことがあります。樋口さんの名言に「大きい声を出して、いつも元気にニコニコしていれば、たいていのことはうまくいきます。」という言葉があります。とりあえず大きな声で歌いましょう。
広島教区創立100周年記念行事
講演会と閉年ミサに参加して
ヨゼフ 濵口 利夫
9月18日(月)幟町カトリック教会で開催された記念行事の来賓として、教皇大使のレオ・ボッカルディ大司教様、釜山教区の孫 三錫司教様、インファンタ教区のベルナルディーノ・コルテス司教様、大阪高松大司教区の前田 万葉枢機卿様がそれぞれ祝辞を述べられました。
防府教会からは、外川神父様、ノエリシスアー、川岡信徒代表、濱口が参加しました。
講演会は、上智大学教授の河村 信三神父様(イエズス会)が「これからの福音宣教について」と題してお話されました。日本のカトリック信者の減少傾向に伴い、広島教区もカトリック信者数が、ピーク時の約21,500人から現在19, 000人に減少しているとのことです。先人たちが、長年いろいろな苦難を乗り越えながら、守り広めて来た信仰をいかにして継続するか、これからの人口減少や、予想される宣教の柱である聖職者(神父、シスター、修道士)の減少等、厳しい環境の中で共同体を継続して行く為に、私たち信者各人の布教への関心と信者間の協調と助け合いが、より一層必要になるのではと思われます。
防府教会は、幼児洗礼ではなく成人されて洗礼を受けられた熱心な信者さんが多くまた、教会の奉仕活動や、役員をされてる方には頭が下がります。これからも、共同体の継続には希望が持てると感じます。若人がもう少し多ければ理想です。
私もまずは、まともな信者になるように努めます。
記念講演「これからの福音宣教について」
マリア 川岡淳子
川村信三神父様の記念講演を少しご紹介します。歴史学者でもある神父様は、広島教区100周年を祝うとともにこれからの教会をどうしていくべきかを歴史を通して話されました。
日本のキリスト教は16世紀に外国宣教師が来日して始まりました。彼らは宣教だけでなく社会の最底辺にいる人々への援助のための病院や育児院を開設しました。それを手伝ったのは信徒でした。彼らは慈悲の業で病人看護と死者の埋葬という当時は穢(けがれ)として嫌われていた行いを頓着せず担いました。そこに信徒を中心とした共同体が作られました。また19世紀には家庭祭壇を持つ家庭に、数少ない宣教師の代わりに伝道師(カテキスタ)が活発に活動していきます。教会堂がなかった頃、ささやかながらも楽しいひと時を過ごし(ホームチャーチ)、信仰生活の仕方を教えるうちに信徒が増えていきました。いずれも信徒が活発に活動し、これが教会の始まりとなりました。先人たちの宣教活動は、信徒それぞれの自発性と外に向けて進んでいく必要性を教えてくれています。
川村信三神父様の講話は教会創立70周年を迎える防府教会の私たちにとっても今後の福音活動を考えるよいヒントになります。川村信三神父様の講演を是非ご覧下さい。(防府教会のホームページからアクセスできます。)
行事予定
ロザリオの月
10/ 1(日) 年間第26主日 ミサ9:30
10/ 8(日) 年間第27主日 ミサ9:30
ベトナム語ミサ12:00
終生誓願式
10/15(日) 年間第28主日 ミサ9:30 英語ミサ 14:30
10/22(日) 年間第29主日 ミサ9:30
10/28(土) 10月命日の方のためのミサ
10/29(日) 年間第30主日 ミサ9:30
*毎週土曜日9時から「ロザリオの祈り」をいたします。
防府教会創立70周年記念行事のご案内
◇創立70周年記念ミサ
日時 11月5日(日)9時30分
司式 白浜 満司教様
(ミサの中で堅信式が行われます。)
その他 ・記念撮影
・記念絵葉書配布
・お祝い会
◇記念コンサート
坂井里衣ソプラノ ソロコンサート
11月26日(日)14時開演
防府カトリック教会聖堂
入場料 無料
(整理券が必要です)
命 日
主よ、永遠の安息を彼らにお与えください
3日 | 6年目 | ヨセフ | 針間 照正 |
5日 | 17年目 | マリア・ルルド | 清水 ヨシエ |
6日 | 27年目 | カタリナ | 向井 斉子 |
6日 | 19年目 | ヨゼフ | 中野 進男 |
8日 | 31年目 | マリア | 多田 ミヨ |
8日 | 33年目 | 河合 平世 | |
10日 | 15年目 | フランシスコ・アシジ | 佐鹿 恵望 |
10日 | 64年目 | イグナチオ | 渡辺 俊治 |
15日 | 42年目 | カロル | 徳永 福二 |
17日 | 38年目 | ヨゼフ | 藤山 一三 |
22日 | 74年目 | マリア・テレジア | 荒瀬 ちえりな |
24日 | 26年目 | モニカ | 永見 セツ |
24日 | 18年目 | エリザベット・カタリナ | 横山 英子 |
25日 | 13年目 | インマクラタ | 星出 アヤメ |
26日 | 2年目 | クララ | 国元 幾子 |